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火華

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好き

私が初めてOOOしたのは、小学校4年生の頃である。男にとって一大事の経験であることを納得してくれるだろうか。それは運命にしかいいようがなく、そのきっかけは突発的に訪れる初恋のような物で、だから「早い!」と言われても困るのだ。

 「初」というものは大概がそうであるように強烈であるもの。

射精の際、胸騒ぎ。最初に思った感情は恐怖だった。まるで禁断の木の実を手に取ったアダムとイブのように。徐々に全身が震え始める。間も無く止まってから、「気持ちよかった」と一言漏らす。恐らく二度と感じることはできないだろう。喩えなど必要とせず、(むしろ邪魔なのだ)ただ気持ちがいいとしか言えない快楽そのものを、あの時、僕は初めて知った。

 

人々のOOOに至るまでの経緯を、決して一概には言えないものだから、そもそも言いたくもないわけで、言えるのは私の場合。。。

 

夏の頃だと思う。僕はベッドよりやや低めの木製の引き出しに置いてある、小型テレビに体を向けて、うたた寝をしていた。流れる音は耳を通っていて頭には何一つ入ってこない。

 

不意に下に目をやる。すると、僕はためらってしまった。いつまでも暗くて、いつまでも続いているようだ。僕が立っているここは、僕が住んでいるアパートのてっぺんではあるが、玄関の所にノコノコと布団やら、何やらを周りに注意を払いながらバリバリ抱えてきては、平然とした顔つきで、あっさりと捨てて行く人々の作られた、「あるもの」を感じ取るには充分な高さなのだ。然し、人の気配は相変わらず感じられないのである。そんなことは、さして何の影響も与えない。寂しさだけを覚えさせるこの街は、いつまでも暗いのだから。暗くて、暗くて。ただそれだけが取り柄の街である。だから僕は寂しいのだ。

 

それからこんな調子でただただ脳味噌を働かせているものの、自分を投げ捨ててしまうのは大変な勇気がいると、さらに尊敬されるべき事柄として捉え始めた。「こんなこと、ただ者では出来ないんだよな。僕だって派手に行きたいのは山々だったんだけどよ!」だからこうして「わたし」はここにいる訳で、こんな取り留めのなく長々とつまんない思い出に浸っていてはいるけれども、ただ者でないのは僕も同様。「すぐ行ってしまいたい」と言いながらも、孤独に我を差し出すことを躊躇しているのは、何故、僕は生まれてしまったのかについて考え込んでいるからであった。そして私は再び自分の世界に戻る。